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●全般性不安障害(全般不安症)
全般性不安障害(Generalized Anxiety Disorder)とは
全般性不安障害(GAD)は、日々の様々な活動や出来事について、自分ではコントロールできないほど過剰な不安や心配が生じてしまう精神疾患です。この状態が通常はほぼ毎日、しかも6ヶ月以上の長期間にわたって続くことが特徴です。
全般性不安障害の方は、不特定の様々な事柄に関して過度な不安や心配を感じ、悲観的な見通しを立ててしまいます。不安の対象が漠然としていてとらえどころがなく、持続的で制御困難なこの不安は、「浮動性不安」とも呼ばれることがあります。
主な症状
全般性不安障害では、精神的な症状と身体的な症状の両方が現れます:
精神的症状
- 過剰で制御困難な心配
- 取るに足らないことでも心配してしまう
- 将来に対する不安や悲観的な予測
- 集中力の低下
- 決断困難
- 持続的な緊張感
身体的症状
- 落ち着きのなさ、そわそわした感じ
- 疲れやすさ
- 筋肉の緊張(特に肩こり、頭痛)
- 睡眠障害(入眠困難、中途覚醒、熟眠感の欠如)
- 動悸、発汗、めまい
- 過敏性腸症候群のような消化器症状
これらの症状は生活の質を著しく低下させ、仕事や人間関係にも大きな影響を与えることがあります。長期間の不安状態により、自律神経の働きも乱れ、様々な身体症状が慢性化することがあります。
原因
全般性不安障害の正確な原因はまだ完全に解明されていませんが、以下のような複数の要因が関与していると考えられています:
- 生物学的要因:脳内の神経伝達物質(特にセロトニン、ノルアドレナリン、GABA)のバランスの乱れ
- 遺伝的要因:家族内での発症リスクの高さ
- 心理的要因:不安への脆弱性、過度の心配傾向
- 環境要因:ストレスフルな生活経験、トラウマ体験
多くの場合、これらの要因が複合的に作用して発症すると考えられています。
治療について
全般性不安障害の治療は、薬物療法と心理療法を組み合わせた総合的なアプローチが効果的です。当院では、患者さん一人ひとりの症状や生活状況に合わせた治療計画を提案しています。
薬物療法
不安症状を軽減し、自律神経の安定化を図るために、以下のような薬剤を使用します:
- 抗不安薬:ベンゾジアゼピン系薬剤は即効性があり、強い不安症状をすぐに和らげる効果がありますが、依存性の問題があるため短期間の使用にとどめることが一般的です。
- 抗うつ薬:選択的セロトニン再取込阻害薬(SSRI)やセロトニン・ノルアドレナリン再取込阻害薬(SNRI)は、長期的な不安症状の改善に効果があります。効果が現れるまでに2〜4週間程度かかりますが、依存性の問題が少なく、長期治療に適しています。
- その他の薬剤:症状に応じて、漢方薬や自律神経調整薬などを併用することもあります。
心理療法
薬物療法と並行して、以下のような心理的アプローチも重要です:
- 認知行動療法:不安を引き起こす非機能的な思考パターンを識別し、より適応的な考え方に修正する方法を学びます。
- リラクセーション法:腹式呼吸法や漸進的筋弛緩法などのリラクセーション技法を習得することで、身体的緊張を和らげます。
- マインドフルネス:現在の瞬間に意識を向け、判断を加えずに受け入れる姿勢を養うことで、不安を和らげる効果があります。
当院では診療の中で基本的な心理教育やリラクセーション法の指導を行い、患者さんご自身が不安をコントロールする力を身につけるサポートをしています。
生活習慣の改善
不安症状の緩和には、以下のような生活習慣の改善も効果的です:
- 規則正しい生活リズムの確立
- 十分な睡眠
- 適度な運動
- カフェインやアルコールの摂取制限
- バランスの良い食事
治療の見通し
全般性不安障害は慢性的な経過をたどることが多いですが、適切な治療を受けることで症状をコントロールし、日常生活の質を向上させることが可能です。特に早期の段階で治療を開始することで、より良い結果が期待できます。
症状や治療経過には個人差がありますが、多くの患者さんは薬物療法と精神療法の組み合わせによって、3〜6ヶ月程度で症状の改善を実感されます。その後も再発予防のために一定期間の治療継続が推奨されることがあります。
当院では、患者さんの症状の変化に応じて、薬物療法の調整や心理的サポートを継続的に提供しています。過度な不安でお悩みの方は、一人で抱え込まずに、どうぞお気軽にご相談ください。