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★パニック発作時の対応
1. **深呼吸を行う**
ゆっくりと息を吸って吐き出します。4秒間吸って、4秒間止めて、4秒間吐き出すというリズムを試してみましょう。
呼吸法がいくつかありますが、自分に一番合った方法を練習しましょう。
深呼吸の目的:
– 過呼吸を防ぎ、適切な呼吸パターンを取り戻す
– 身体をリラックスさせ、心拍数を下げる
– 酸素と二酸化炭素のバランスを整える
– 精神的な落ち着きを取り戻す
基本的な深呼吸法:
a. 鼻から息を吸う(4秒間)
b. 息を止める(2秒間)
c. 口からゆっくり息を吐く(6秒間)
d. これを5-10回繰り返す
腹式呼吸の実践:
– 一方の手を胸に、もう一方を腹部に置く
– 息を吸う時に腹部が膨らみ、吐く時にへこむように意識する
– 胸の動きを最小限に抑え、腹部の動きを大きくする
4-7-8呼吸法:
– 鼻から4秒間かけて息を吸う
– 7秒間息を止める
– 8秒間かけてゆっくりと口から息を吐く
– これを4回繰り返す
ボックス呼吸法:
– 4秒間息を吸う
– 4秒間息を止める
– 4秒間息を吐く
– 4秒間息を止める
– これを四角形を描くようにイメージしながら繰り返す
実践上の注意点:
– 無理に深く吸いすぎないよう注意する
– めまいを感じたら一時中断し、通常の呼吸に戻す
– 呼吸に集中し、パニック症状から注意をそらす
– 目を閉じると集中しやすいが、閉じると不安が増す場合は開けたままでよい
日常的な練習の重要性:
– パニック発作が起きていない時にも定期的に練習する
– 朝起きた時や寝る前など、日課として取り入れる
– 練習を重ねることで、発作時にも自然に実行できるようになる
補助ツールの活用:
– スマートフォンの呼吸誘導アプリを使用する
– 呼吸に合わせて膨らむ・縮むアニメーションを見る
– 静かな音楽やホワイトノイズを聴きながら行う
自己対話との組み合わせ:
– 息を吐く時に「リラックス」「落ち着く」などの言葉を心の中で唱える
– 「吸う時に良いエネルギーを取り入れ、吐く時に不安を手放す」とイメージする
効果の個人差:
– 人によって最適な呼吸法や回数が異なる場合がある
– 自分に合った方法を見つけるまで、異なる技法を試してみる
深呼吸は簡単で効果的な技法ですが、正しい方法で行うことが重要です。パニック発作時に慌てず実行できるよう、平常時から練習を重ねることをお勧めします。
2. **現実を確認する**
周りの環境に注目し、五感を使って現在の状況を把握します。
例えば、見える物を5つ、聞こえる音を4つ、触れる物を3つ、嗅ぐ匂いを2つ、味わえるものを1つ確認します。
これは「グラウンディング」とも呼ばれ、現在の瞬間に意識を集中させ、パニックの症状から注意をそらすのに役立ちます。
1. 視覚(見る):
– 周囲にある5つの物を見つけ、それぞれの色や形を詳細に観察する
– 窓の外の景色を見て、動いているものと静止しているものを区別する
– 部屋の中にある青い物を3つ見つける
– 自分の手のひらの線を細かく観察する
2. 聴覚(聞く):
– 聞こえる4つの異なる音を識別する(例:時計の音、外の車の音、自分の呼吸音、エアコンの音)
– 最も遠くから聞こえる音と最も近くで聞こえる音を区別する
– 自分の名前をゆっくりと3回唱える
– 好きな歌の歌詞を頭の中で歌う
3. 触覚(触れる):
– 異なる質感の3つの物に触れる(例:滑らかなテーブルの表面、ざらざらした壁、柔らかい衣服)
– 自分の腕や手を優しくマッサージする
– 冷たい物(水のグラスなど)を手に取り、その感覚に集中する
– 両足で地面を強く踏みしめ、その感触を意識する
4. 嗅覚(嗅ぐ):
– 周囲にある2つの匂いを識別する(例:コーヒーの香り、洗剤の匂い)
– 深呼吸をして、空気の匂いを意識的に嗅ぐ
– 香水や芳香剤など、好みの香りを嗅ぐ
– ハンドクリームを手に塗り、その香りを楽しむ
5. 味覚(味わう):
– 水を一口飲み、その味と喉を通る感覚を意識する
– ミントキャンディーやガムを口に入れ、その味を楽しむ
– 舌を上あごにつけ、口の中の味を意識する
– レモンやオレンジなどの柑橘系の果物を少し食べ、その酸味を味わう
実践のコツ:
– この技法を使う際は、ゆっくりと丁寧に各感覚を確認することが大切です。
– 五感すべてを使う必要はなく、その時の状況や好みに応じて、1つか2つの感覚に集中しても効果的です。
– 事前に練習しておくと、実際のパニック発作時にもスムーズに実行できます。
– 必要に応じて、感覚の確認を声に出して行うことも有効です。
3. **自己対話を行う**
「これは一時的な症状だ」「私は安全だ」などと、自分に言い聞かせます。
- 症状の一時性を認識する: 「これは一時的な症状だ。必ず収まる。今まで何度も乗り越えてきた。」
- 安全性を確認する:「私は安全だ。周りに危険はない。この症状が危険なわけではない。」
- 現実を確認する: 「これは単なるパニック発作だ。心臓発作ではない。呼吸が苦しいだけで窒息しているわけではない。」
- 自己コントロールを思い出す:「私にはこの状況をコントロールする力がある。深呼吸を続ければ落ち着ける。」
- 過去の成功体験を思い出す:「前回もこの方法で乗り越えられた。今回も必ず大丈夫。」
- 症状を客観視する:「これは単なる不安反応だ。私の体が過剰に反応しているだけ。実際の危険はない。」
- 対処スキルを思い出す:「リラックス法を使おう。まず深呼吸から始めて、次に筋肉弛緩を行う。」
- 時間の経過を意識する:「数分すれば必ず落ち着く。時計を見て、時間の経過を確認しよう。」
- 自己肯定:「私は強い。これを乗り越える力がある。一歩ずつ落ち着いていける。」
- 焦りを抑える:「焦る必要はない。ゆっくりと対処すればいい。時間をかけて落ち着こう。」
- 支援を思い出す:「一人じゃない。必要なら周りの人に助けを求められる。」
- 症状への過度の注目を避ける:「症状に集中しすぎない。周りの環境に注意を向けよう。」
これらの自己対話を、状況や個人の好みに合わせて使用します。効果的な自己対話は、前もって練習し、自分に最も響く言葉を見つけておくことが大切です。また、これらの言葉を小さなカードに書いて持ち歩き、パニック発作時に見返すのも有効な方法です。
4. **リラックスする**
筋肉の緊張をほぐすため、体の各部分を意識的に緩めていきます。
- パニック発作と筋肉の緊張の関係: パニック発作時、体は「戦うか逃げるか」の反応を起こし、筋肉が自動的に緊張します。この緊張が、さらに不安を増幅させる悪循環を生み出すことがあります。
- 意識的な筋肉弛緩の目的:
- 身体の緊張を和らげることで、パニックの身体症状を軽減する
- リラックス反応を誘発し、交感神経系の活動を抑える
- 心理的にも「危険ではない」というメッセージを脳に送る
- ジェットコースターに乗っている時に全身の筋肉を緩め、恐怖に身を委ねるイメージ:
- 恐怖を感じる状況で意識的に体を脱力する点が類似している
- コントロールを手放し、状況に身を委ねる姿勢が共通している
- 緊張せずに体験を受け入れることで、実際の恐怖感が軽減される可能性がある
- 実践方法:
- 深呼吸を始める
- 頭からつま先まで、順番に各部位の筋肉を意識的に緩める
- 特に肩、首、顎など、緊張が溜まりやすい部位に注意を向ける
- 「安全だ」「この感覚は一時的なものだ」と自己暗示をかける
- 練習の重要性: この技法は、パニック発作が起きていない平常時に練習しておくことが重要です。そうすることで、実際のパニック発作時にも自動的に実行できるようになります。
- 注意点:
- 完全な脱力ではなく、適度な弛緩を目指す
- 最初は難しく感じるかもしれないが、練習を重ねることで上達する
- この技法だけでなく、他の対処法と組み合わせて使用するのが効果的
この技法を習得することで、パニック発作の症状を和らげ、発作時の不快感を軽減することができます。ジェットコースターの例えは、この技法の本質をよく捉えており、実践する際のイメージとして非常に有用です。
5. **気をそらす**
簡単な計算や、好きな歌を口ずさむなど、注意を別のことに向けます。
パニック発作時に「気を逸らす」ことは、症状から注意をそらし、不安を軽減するのに効果的な方法です。以下に具体例をいくつか挙げます:
1. 計算問題を解く:
– 100から7ずつ引き算をする(100, 93, 86…)
– 2の累乗を順に言う(2, 4, 8, 16…)
– 簡単な掛け算や割り算を頭の中で行う
2. 言葉遊び:
– アルファベット順に動物の名前を考える
– 「し」で始まる言葉をできるだけ多く挙げる
– しりとりを一人で行う
3. 視覚的な課題:
– 周囲にある赤い物を5つ見つける
– 窓の外の動いているものを3つ探す
– 部屋の中の物を形状別(丸いもの、四角いものなど)に分類する
4. 感覚に集中する課題:
– 氷や冷たい缶を手に持ち、その感覚に集中する
– 香りの強いハンドクリームを塗り、匂いを楽しむ
– ミントキャンディーを口に入れ、その味と感覚を意識する
5. 記憶力を使う課題:
– 好きな映画のセリフを思い出す
– 小学校の同級生の名前をできるだけ多く思い出す
– 最後の休暇で訪れた場所の詳細を思い出す
6. 音楽関連:
– 頭の中で好きな曲を歌う
– 特定のアーティストの曲名をできるだけ多く挙げる
– リズムを刻みながら、そのビートに集中する
7. 身体を使う活動:
– その場でかかとの上げ下げを20回行う
– 指を順番に親指と合わせていく(ピアノを弾くような動き)
– 壁を背にしてゆっくりとスクワットをする
8. 想像力を使う課題:
– 理想の休暇プランを詳細に考える
– 架空の動物を想像し、その特徴を考える
– 自分の理想の家の間取りを頭の中で設計する
9. テクノロジーを活用:
– スマートフォンのパズルゲームをプレイする
– カメラアプリを開いて、周囲の面白い角度の写真を撮る
– 瞑想アプリのガイド付きセッションを聴く
10. 五感を使う課題:
– 周囲の音を聞き、それぞれの音源を特定する
– 触れている物の質感を細かく観察する
– 目の前の光景を絵に描くイメージをする
これらの方法を試す際の注意点:
– 事前に複数の方法を練習し、自分に合うものを見つけておく
– 簡単すぎず、難しすぎない課題を選ぶ
– 状況に応じて適切な方法を選択する(例:公共の場では目立たない方法を選ぶ)
– 効果がない場合は別の方法に切り替える
「気を逸らす」技法は、パニック症状から一時的に注意をそらし、落ち着きを取り戻す時間を作るのに役立ちます。ただし、これは一時的な対処法であり、長期的にはパニック障害の根本的な治療と組み合わせて使用することが重要です。